平成30年2月18日 禁煙政策はどうあるべきか(1)


 東京五輪を機に公共の場での全面禁煙を実現しようという動きが、現段階では腰砕けになりそうだ。喫煙や禁煙をどう考えたらよいかについて、要点を記してみたい。基本的に重要なことは、喫煙が個人の自由として主張できる完全に正当な権利になりえないことである。
 タバコの煙が漂う空間では、ほとんどの非喫煙者が強い不快感を抱く。一刻でも早くそこから逃れたいと思うだろう。そのような場で、ディナーを楽しみたいとか、午後のひとときを友人とティーでくつろぎたいと思う非喫煙者はほぼゼロである。実際のところ、喫煙者さえ他人の出したタバコの煙に対しては不快感を抱く。
経済学的に表現すれば、喫煙することによってタバコの煙を周囲の人に吸わせる喫煙者は、外部不経済を生み出しているといえる。換言すれば、喫煙者は空間を共有する人たちに不当な害を与えているのだ。これは全く正当化できない。周囲の人たちに汚水をまき散らすのを正当化できないのと同様である。
 自動車が排気ガスを出すのは許容されているのに、なぜ喫煙は許容されないのか、と主張する喫煙者がいるかもしれない。厳密にいうと自動車の排気ガスも問題ではあるが、レストラン内で抱く排気ガスに対する不快感はほとんど無視できるのに、タバコの煙に対する不快感は耐え難いのである。タバコの煙は許容限度を超えているともいえよう。
 以上の理由だけでも、公共の場における喫煙は規制されるべきである。さらに受動喫煙は多種類の疾病を引き起こす可能性も無視できない。特に、妊婦や特殊な体質の人たちには好ましくない影響が強く現れるであろう。
 飲食店に入ろうとしてドアを開けたときにタバコの煙の臭いがすると、日本は先進国でないのかと私は感じる。日本は素晴らしい国だと外国人に感じてもらうためにも、飲食店を含む公共の場では全面禁煙にすべきであろう。禁煙に反対の論者もいるので、その論拠の問題点に後ほど触れてみたい。

ご意見・ご感想をご自由にどうぞ。
連絡先 kazuhiro.arai888@gmail.com

荒井一博のホームページ http://araikazuhiro.world.coocan.jp/
荒井一博のブログ
荒井一博のツイッター





コメント

このブログの人気の投稿

経済学部は必要なのか(39) 御用学者の公共心

経済学部は必要なのか(28) 勤勉で勉強好きな日本人という神話

Twitter:過去のツイートの整理 (2) 2018年(b)