平成30年2月11日 日本は衰退している(3)ある経済学者の生き方


 よく名の知られた経済学者の生き方を知って、このような経済学者が持て囃される国は衰退するだろうな、とずっと以前から感じていた。概略を記しておきたい。
 彼は一般向けの著書を多く出し、マスメディアにも頻繁に登場した。多大な所得を得たようだ。しかし、専門分野における先端的研究はしていたように見えず、査読付きの英語論文は一つもないようである。
さらに、彼の講義はたいへんいい加減で、ほとんど準備をしてきた形跡がなかったらしい。出欠調査に長い時間を使い、講義中に分からなくなって行き詰まると、十分以上も立ち止まって考えていたという。マスメディアなどの仕事が大切で、講義などどうでもいいと考えていたのだろう。
 教授会では自分の意見を述べず、ずっと沈黙していたと多くの人が認める。簡単な事実の報告などはしたのかもしれないが、重要なのは重大問題が発生したり議論が紛糾したりしたときに正々堂々と自分の意見を表明することだ。だが、教授会で多数派と異なる意見を表明することはかなり危険である。睨まれて不利益を被る可能性が高い。彼はこれを避けたのだ。著書では正義などの綺麗ごとを論じても、自分からは実践しなかったといえよう。
 このように私利追求的で他者や日本全体のことを案じない経済学者が、実際にはわが国のメディアで持て囃されているのだ。日本が衰退しても当然と感じる。

ご意見・ご感想をご自由にどうぞ。

連絡先 kazuhiro.arai888@gmail.com
荒井一博のホームページ http://araikazuhiro.world.coocan.jp/
荒井一博のブログ
荒井一博のツイッター




コメント

このブログの人気の投稿

経済学部は必要なのか(39) 御用学者の公共心

経済学部は必要なのか(28) 勤勉で勉強好きな日本人という神話

Twitter:過去のツイートの整理 (2) 2018年(b)