平成30年1月14日 日本は衰退している(1)一般労働者

購入した商品の使い方や契約書の説明などが分からないために、製造元や販売会社に電話することがある。そうしたときに、まともな答えの得られない場合のほうが多いように感じるのは、私だけではあるまい。これには複合した要因が関係しているであろう。
第一に、電話で対応する社員は自分の仕事に関してあまり勉強していない。少しでも込み入ったことを質問すると、彼女ら(彼ら)は答えられなくなる。契約書など読んでいないようだ。答えられなくなり、「ちょっとお待ちください」といって、質問者の了解も得ずに電話を保留にして、5分以上も待たせることも稀ではない。他の社員か上司に聞きに行っているのであろう。質問者の質問に答えられず、沈黙してしまう社員も少なくない。ずっと沈黙していて、何とも思わないのであろうか。
第二に、そうした社員は勉強していないために知識不足であるだけでなく、顧客のために良質なサービスを提供しようとする意思もないようである。与えられた仕事を適当にして一日を過ごせればよいと考えているようだ。顧客は神様だと考える企業がかつては多かったが、今では消滅したかもしれない。
第三に、明らかに会社は社員教育を熱心に行っていないようである。社員の知識が十分なことを確認(テスト)もせずに、電話の対応につかせているようだ。かつての日本企業は社員教育に熱心であったが、今では事態が大きく変わってしまった。社員がまずい対応をしても会社は恥ずかしくないようだ。
第四に、電話で対応している社員の多くは非正規雇用者ではないか、と私は推察する。非正規雇用なので会社は十分な社員教育を行っていないのではないか。また社員も、いつ雇用が打ち切られるかわからないので、勉強を一生懸命しないと推察される。
歴史的に日本は一般庶民が優秀な社会であった。江戸時代でも識字率が高く、一般庶民は勉強熱心であった。しかし今日の一般庶民は不勉強であるばかりか、他者に対する配慮も大きく失っているようだ。一般庶民を雇用している企業も熱心に教育を行わないだけでなく、新自由主義に影響されて、彼らを使い捨てインプットとして扱っているように私は感じる。一般労働者の仕事能力低下は、日本の衰退を象徴する事実にほかならない。

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