平成29年11月18日 退職者パワーの活用法

 すでに退職した人たちの数が急激に増大している。彼らの多くは生活に困らないほどの資産と年金収入があるものの、時間を持て余し孤独である。これを解決する妙案を提起したい。
 市町村が退職者を対象に清掃ボランティアを募集すればよい。10人から20人ほどのグループを作って、ごみバサミと大きめのビニール袋を貸し与え、午後1時から午後4時くらいまで、市町村道や公園のゴミを拾ってもらうのだ。作業終了後は、彼らに一人千円くらいのアルコール飲料やおつまみなどを提供して懇親会をしてもらう。このようなグループを多数作り、同一人が週1回ほど参加できるようにする。
 ゴミ拾いという共同作業をすれば、グループ内の会話も弾み、退職者同士は自然と仲良くなれだろう。さらに懇親会で飲食をともにすれば、親密度が高まるにちがいない。孤独感などはどこかに吹っ飛んでいき、次の週のゴミ拾いが楽しみになるはずだ。精神衛生にきわめて有効だろう。それだけでなく、ゆっくりではあるが3時間も歩けば、かなりの運動になる。
 人口の多い自治体では、趣味や関心別にグループを作ってもよいだろう。絵画・音楽・映画・野鳥・政治経済・歴史などの同好グループだ。そうすれば話も大いに盛り上がり、ゴミ拾い以外の日も集まろうということになるかもしれない。
 商店近辺の清掃の際は、商店の掃除や片付けや商品の搬出入なども手伝うことができるかもしれない。そうすれば、懇親会に商店からの差し入れもありうる。退職者が多くの商店と親しくなって、商店街が活性化するかもしれない。
 こうした退職者パワーの活用法には次の五つの利点がある。①退職者の孤独感が解消し、彼らの精神衛生が向上する。②運動によって退職者の肉体的健康が向上する。③退職者の精神的・肉体的健康が向上して、医療費を節約できる。④市町村は少ない費用で地域の美観を維持できるため、財政が健全化する。⑤商店街や地域全体が明るくなり、経済的にも繁栄する。
 今日の日本の道路や公園の美観はまずまずの水準にあるといえよう。私が特に気にしているのは、美観の劣る河川が少なくないことである。多くのビニール袋や布切れが河川内の草木に引っかかっている。自転車・椅子・傘・ボールなども河川に捨てられたり放置されていたりする。きわめて醜く不潔である。退職者パワーの活用によって清掃業者の仕事が減ったら、河川の美化作業に取り組んでもらいたい。河川は水鳥や魚をはじめとする動植物を育て、付近の住民や通行人の精神衛生の向上に寄与するので、その美化は大きな価値をもつ。


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